鉛筆の芯や炭と同じ炭素原子からできているにもかかわらず、自然界の物質の中で最も硬く、かつ、きらめく光を放つダイヤモンドは、別名「金剛石」ともいわれる。その理由は"原子の繋がり方"にある。炭素原子が、地球の奥深く2000度とも言われる高熱と、数万気圧という高圧によって、原子がピラミッドのような正四面体の形に結合することでダイヤモンドになる。それは"硬さ"も"輝き"も、極限状況の中で生まれた団結の賜---。
この方程式は、人間社会にも通じる。仏教においても、盤石・最上・最勝のものの例えとして「金剛」という言葉が用いられる。例えば、仏の身を「金剛身」という。それはダイヤモンドのように堅固で、いかなる煩悩や迷いにも壊れないからである。